明治期における在清日本郵便局の展開
書誌事項
- タイトル別名
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- The expansion of Japanese post offices in Qin China
- The proactive stance of the Ministry of Communications in extending its influence over the Chinese mail
- 対清通信利権をめぐる逓信省の積極化
抄録
本稿は、研究史上十分に取り上げられてこなかった在清日本郵便局のあり方を、日清戦争後の日本の対清政策と関連づけて検討する。この在清郵便局を管轄していたのは、逓信省である。本稿は、在清郵便局を通信利権として捉え、これを運用する逓信省が対清政策に積極化していく過程を明らかにする。<br> 在清郵便局は、上海郵便局を嚆矢として各地に設置された。日清戦争以前の在清郵便局は、設置地への勢力伸長を狙ったものではなく、上海と朝鮮半島が重視されていた。また、領事館に依存した運営体制が確立した。<br> 日清戦争後、清が郵便事業を開始すると、総税務司R.ハートは外国郵便局の業務を規制し、以降日本は在清郵便局をめぐって清の郵便行政と対峙することとなる。日本側では、居留民の請願と領事の要請により、華中・華南へ郵便局が設置された。このような在清郵便局の増設は政府の対清政策に則っていたが、一方で逓信省は清国の郵便行政への介入を構想し始める。しかしこれは、省内で具体的な方針として確立したわけではなかった。<br> このような状況は、北清事変を契機に大きく変化する。逓信省は軍事行動の延長として、華北・東北地域へ在清郵便局を設置するとともに、在清郵便局の運営を領事館から自立させていった。さらに、下村宏北京局長は、清国郵便行政への介入策を対清政策として具体化した。<br> 1903年、日清間の郵便問題を解決すべく「日清郵便仮約定」が締結された。この条約の内容は、逓信省の意向を反映して在清郵便局の存在を前提として業務内容に限定されていた。在清郵便局の正当性という根本的な問題は議論されなかったのである。<br> このように、逓信省は軍事行動の延長で在清郵便局を設置・拡充し、曖昧な条約を根拠として利権を拡大していく方針をとったが、これは列強との協調関係を重んじる外務省との間に軋轢を生んだ。以上のように、逓信省は外務省から自立し、対清通信利権獲得に積極化していったのである。
収録刊行物
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- 史学雑誌
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史学雑誌 131 (9), 21-46, 2022
公益財団法人 史学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390016040232656384
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- ISSN
- 24242616
- 00182478
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可