超高齢ながら保存的治療により軽快した横隔膜下膿瘍の1例

  • 中村 宏信
    公益社団法人石川勤労者医療協会城北病院内科

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タイトル別名
  • A case of subphrenic abscess in a very elderly patient relieved by conservative treatment

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抄録

<p>症例は関節リウマチで通院中の90代女性.発熱を主訴に救急搬送され,尿路感染症の入院時診断で抗菌薬治療を開始したが,1週間にわたり38度台の発熱が遷延,第8病日に腹部超音波検査で胆囊炎穿孔から生じた右横隔膜下膿瘍と診断した.外科にもコンサルトしたが,胆囊がドレナージの困難な部位に位置していたこともあり,まずは抗菌薬による保存的治療を選択した.2カ月間の経静脈的抗菌薬投与により膿瘍の縮小を認め,内服抗菌薬へ切り替えて退院となった.退院2週間後の再診時には膿瘍の消失を確認し,内服抗菌薬も終了,その後の再発も認めていない.</p><p>横隔膜下膿瘍の治療の原則は腸内細菌や嫌気性菌をカバーした広域抗菌薬の投与とともに,適切なタイミングでドレナージを行うことである.実際,横隔膜下膿瘍の報告ではほとんどの症例でドレナージが行われており,その治療原則に変わりはない.ただ,超高齢であったり穿刺が困難なケースにおいては,慎重に画像検査なども確認しながら,保存的に加療を行うことも一つの選択肢になり得ると考えられた.</p>

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