ゲノム情報によるリスク層別化の今とこれから

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  • Risk stratification by genomic information: now and in the future

抄録

乳がん診療の領域では,BRCA1/2 遺伝学的検査が2018年にPARP 阻害薬に対するコンパニオン診断薬として,さらに2020年には条件を満たす乳がん患者のHBOC 診断目的として保険収載され,乳がん診療の現場でも遺伝情報がごく一般的な診療情報の一部となってきた。さらには,再発高リスク乳がんの術後アジュバント療法としてオラパリブの適用が拡大されたこともあり,BRCA 遺伝情報なしでは適切な乳がん診療を提供できない段階に到達している。 以前には発症年齢や家族歴から遺伝性腫瘍が疑われ,診断に至ることが多かったが,今後はコンパニオン診断やがんゲノムプロファイリングなど,二次的に遺伝性腫瘍の診断がなされる機会が増えていくと予想される。 さらには遺伝性腫瘍の診断も,現在のような特定の遺伝子を調べる方法から,関連する複数の遺伝子を同時に調べるマルチ遺伝子パネル検査が普及していくと予想される。 がんの背景にある遺伝要因を明らかにすることは,患者の現在の病変に対してより適切な治療を提供することに加えて,将来の発症リスクが高いがんに対する先制的医療も可能性にし,さらには同じ体質を持っている可能性がある血縁者へもアプローチすることも可能となる。

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参考文献 (11)*注記

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