小児心疾患患者における開胸下ECMOの長距離陸路搬送の経験

  • 渋谷 将大
    東京都立小児総合医療センター麻酔科臨床工学技士室
  • 正谷 憲宏
    東京都立小児総合医療センター救命・集中治療部 集中治療科
  • 平野 暁教
    東京都立小児総合医療センター心臓血管外科
  • 梅津 昭宏
    東京都立小児総合医療センター麻酔科臨床工学技士室
  • 居石 崇志
    東京都立小児総合医療センター救命・集中治療部 集中治療科
  • 吉田 拓司
    東京都立小児総合医療センター麻酔科臨床工学技士室
  • 吉村 幸浩
    東京都立小児総合医療センター心臓血管外科
  • 齊藤 修
    東京都立小児総合医療センター救命・集中治療部 集中治療科

書誌事項

タイトル別名
  • Mobile ECMO for Long Distance Ground Transport in a Pediatric Cardiac Patient with Central VA-ECMO in Japan

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抄録

<p>我々はVA-ECMOから離脱困難となった虚血性心筋症の小児例に対し,開胸下で520 km, 10時間に及ぶ長距離の陸路ECMO搬送を経験したので報告する.搬送車両は当院独自のドクターカーを用い,事前に搬送中の各医療機器の消費電力と酸素消費量を概算し準備を行った.また搬送中のECMOカニューレの事故抜去を防ぐため,搬送前日に送血部位を大動脈基部より右総頚動脈に変更し,脱血カニューレは右房からより深めに留置,厳重な固定を行った.必要な資機材がすべて1枚のバックボードに収まるように医療機器とともに患児を固定し,ドクターカー内に収容した.搬送チームは,実働時間を加味し2チーム交代制とした.重大な有害事象なく搬送を終えることができた.ECMO搬送では,医療機器のトラブルやカニューレの事故抜去は致死的である.特に小児の開胸下ECMOでは,搬送中の振動によりカニューレ事故抜去のリスクがより高まる.搬送手段や所要時間に応じ搬送中の安全を考慮した事前準備とチーム編成が肝要である.また,本邦では小児ECMO搬送は少なく,症例を集積し搬送システムの定型化が急務である.</p>

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参考文献 (7)*注記

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