東日本大震災による住家全壊被災者のスピリチュアルペインの経験とプロセス――語りの分析が示すソーシャルワーク実践の課題――

DOI
  • 庵原 美香
    同志社大学大学院社会学研究科(博士後期課程) 京都大学医学部附属病院

書誌事項

タイトル別名
  • Experiences and Processes of Spiritual Pain among Victims Whose Houses Were Destroyed Completely by the Great East Japan Earthquake: Emerging Social Work Practice Issues from Narrative Analysis

抄録

<p>本稿の目的は,東日本大震災による住家全壊被災者のスピリチュアルペインの経験とプロセスを明らかにすることである.当事者の語りの内容を社会構成主義的GTAで分析した.住家全壊被災者は,自分の居場所,想い出の場を失う【住家・地元ロス】を一様に抱く.そこから【犠牲者の死の重圧】の中,【他者との不安定な関係】また【自責感からの死の後追い】に迫られ【内に秘めた不条理】に直面していく.これらが解釈性・知覚性・関係性の欠如による存在意義の喪失,つまりスピリチュアルペインの経験として明示された.さらに,①故人の存在がもたらす生きる意義,②利他の絆が与える生きる希望,③地元と自分のオーバーラップ,という三つのプロセスが明らかとなった.考察では,1)犠牲者の存在,2)自己成長を誘う実存的気づき,3)地元への特別な意味とイメージ,4)言葉にならない想い,に配慮する災害時ソーシャルワーク実践の課題が示された.</p>

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 64 (2), 27-40, 2023-08-31

    一般社団法人 日本社会福祉学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390016206136386688
  • DOI
    10.24469/jssw.64.2_27
  • ISSN
    24242608
    09110232
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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