広島アジア競技大会のレガシーとその変化
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- 和田 崇
- 県立広島大学
書誌事項
- タイトル別名
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- The Legacies Following the 12th Asian Games Hiroshima 1994 and Their Changes
抄録
<p>1994年に開催された広島アジア競技大会が広島市にもたらした影響(レガシー)を時間,空間,領域の観点から検証した。その結果,地域スポーツの振興,国際大会の招致・開催,市民主体の国際交流活動といった広島アジア競技大会のレガシーは,ローカルレベルを中心とする空間において関連領域のさまざまなアクターがかかわりながらつくり出されたことが確認された。また,それらはナショナルまたはグローバルレベルの政策の後押しを受けて具体化したことも確認された。これに時間の観点を加えてみると,以下の3点が明らかとなった。第1は,大会自体が当時の「新しい開発」物語に即して招致・開催されたことも含め,当時の政策的潮流に乗る形でレガシーが創出されたことである。第2は,それらのレガシーが大会開催前に計画されたわけでなく,主に大会開催後のさまざまなアクターの相互作用を通じてつくり出されたことである。ただしそれらは,広島アジア競技大会後に偶発的産物として生まれたわけではなく,大会開催前から存在した制度や組織,事業などをベースに,大会開催を契機にアップグレードされたり,新たにつくり出されたりしたものであった。第3は,それらのレガシーが政策の変更や社会情勢の変化,担い手の高齢化にともなって時間の経過とともに変化したり,消失したりする可能性があることである。</p>
収録刊行物
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- 地理科学
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地理科学 78 (3), 152-161, 2023-09-28
地理科学学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390016217261478144
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- ISSN
- 2432096X
- 02864886
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可