釜ヶ峰アベマキ遺伝資源希少個体群保護林の林分構造と成立過程

書誌事項

タイトル別名
  • Stand Structure and Establishment Process of a Rare Population Protection Forest for <i>Quercus variabilis</i> in Mt. Kamagamine

抄録

<p>広島県の釜ヶ峰には大径級のアベマキ林が成立している。本研究では,毎木調査,文献調査,年輪解析データを用いて,本林分の林分構造と成立過程を把握することを試みた。調査結果から,閉鎖林分は,林分高が30 mを超え,ブナ天然林と同程度の地上部現存量(294.2 t/ha)をもつことが示された。本林分の起源は1880年前後の伐採に伴う萌芽更新によると推測された。林冠を占めるアベマキのうち,劣勢木は1940年代と1970年代,中間木は加えて1990年代の3回に渡って成長が好転していた。これらの成長の好転は,間伐や松枯れによって,林冠孔隙ができ対象木の樹冠が拡張した結果と推測された。本林分は,コナラ属が優占する落葉広葉樹二次林が約140年で,ブナ天然林に匹敵する地上部現存量に到達した貴重な事例である。現在の里山に存在する放棄広葉樹二次林を,間伐を通して大径級の林分へ誘導するうえで,よい参照になり得る。</p>

収録刊行物

  • 日本森林学会誌

    日本森林学会誌 105 (10), 323-328, 2023-10-01

    一般社団法人 日本森林学会

参考文献 (9)*注記

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