亜急性髄膜炎で発症後に,脳脊髄炎を呈したMOG抗体関連疾患の1例

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  • A case of MOG antibody-associated disease with encephalomyelitis after the onset of subacute meningitis

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<p> Myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体関連疾患では髄膜炎が先行した報告が散見されるが,脳MRIのT2強調画像およびFLAIRで異常所見を認めた報告が多く,脳MRIが正常所見であった報告は少ない.今回,無菌性髄膜炎が先行し発症したMOG抗体関連疾患の1例を報告する.症例は4歳女児.遷延する発熱,頭痛,嘔吐のため入院した.髄液検査で細胞数上昇を認め,脳MRIで異常所見は認めず,亜急性髄膜炎と診断し抗菌薬,抗ヘルペス薬による治療を開始したが改善しなかった.発症から3週後に幻覚が出現し,覚醒時脳波検査で広汎性徐波を認めた.再検した脳MRIで異常所見は認められなかった.遅れて脊髄症状を呈し,脊髄MRIで胸髄にT2高信号病変を認めたため,脳脊髄炎と診断しintravenous methylprednisolone pulse therapy(IVMP)を施行した.MOG抗体が陽性であったため,最終的にMOG抗体関連疾患と診断した.IVMP,免疫グロブリン大量静注療法を施行したが,反応不良のため血漿交換療法を追加し,臨床症状は改善した.小児のMOG抗体関連疾患では急性散在性脳脊髄炎が先行する場合が多いが,本症例のように脳MRI異常を伴わない無菌性髄膜炎で発症し症状が遷延する場合に,MOG抗体関連疾患を鑑別に挙げる必要がある.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 55 (5), 363-367, 2023

    一般社団法人 日本小児神経学会

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