<論説>近世前期の政治と儒者 --家綱政権における林鵞峰を中心に--

書誌事項

タイトル別名
  • <Article>Politics and Confucians in Early Tokugawa Japan: A Focus on Hayashi Gahō during the Reign of Tokugawa Ietsuna
  • 近世前期の政治と儒者 : 家綱政権における林鵞峰を中心に
  • キンセイ ゼンキ ノ セイジ ト ジュシャ : イエ コウ セイケン ニ オケル リンガホウ オ チュウシン ニ

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抄録

幕府に出仕した林家を対象として、彼らが幕府の政治機構の中でどのような位置にあり、どのような役割を担っていたのかを明らかにし、その活動が近世日本の儒学浸透過程に対していかなる影響を有したかを論じる。対象とするのは家綱政権期の林鵞峰である。鵞峰は父の羅山らと異なり、将軍に近侍せず、その役割は幕府の政務機構の必要性に応じるものであった。鵞峰の役割は以下の五つに整理できる。文書の作成・校正、法度・目安の読み上げ、記録作成とその継承、故事考証、侍講・儒書講義。家綱政権期には超越的な強い君主がおらず、先例の記録や儀礼的な行為が重要なものとなったが、それを担ったのが鵞峰であり、その活動は次代における儒学的理念採用を準備するものであった。儒者林家は、一七世紀を通じて進んだ、幕府政治の「文」化 --歴史・記録の整備(寛永期)、儀礼化(寛文期)、儒学化(延宝末年)-- を支えた存在だった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 106 (3), 423-465, 2023-05-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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