姫路城いぶし瓦の劣化評価(1);表面炭素膜の放射光軟X線吸収分析
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- 村松 康司
- 兵庫県立大学大学院工学研究科
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- 古川 佳保
- 兵庫県立大学大学院工学研究科
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- 村上 竜平
- 兵庫県立大学大学院工学研究科
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- 小林 正治
- 姫路市農政経済局城周辺整備室
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- Eric M. GULLIKOSON
- Lawrence Berkeley National Laboratory
書誌事項
- タイトル別名
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- Evaluation of the Weathered Japanese Roof Tiles of Himeji Castle (1); Soft X-Ray Absorption Analysis of Surface Carbon Films
抄録
<p>世界遺産姫路城において,昭和の大修理から平成の大修理にいたる約50年間で風化したいぶし瓦の劣化状態を放射光軟X線吸収分光法で分析した.その結果,瓦の被覆炭素(いぶし)膜の表面には炭素膜の酸化物と,鉄酸化物,およびカルシウム酸化物が現れた.炭素膜の酸化物は黒鉛系炭素に酸素官能基が結合したものであり,sp2炭素の一部がsp3炭素に変化してアルキル鎖が生成するとともに,炭素六角網面構造が乱れて配向性が低下した.鉄酸化物は焼結粘土素地から表面に析出したものであり,カルシウム酸化物は主に漆喰に起因した.これらの変化量はいずれも,風雨日照に曝された瓦の表面のほうが裏面よりも大きく,風雨日照で風化が促進されることを確認した.しかし,約50年の風化に対しても約90%の瓦で炭素膜は明確に残っており,平成の大修理において再利用される多くの瓦は,炭素膜で被覆されたいぶし瓦として今後も機能するであろうことを明らかにした.</p>
収録刊行物
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- X線分析の進歩
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X線分析の進歩 45 (0), 149-171, 2014-03-31
公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390016272552318208
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- ISSN
- 27583651
- 09117806
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可