中小企業におけるSDGs 経営の課題と展望

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タイトル別名
  • Issues and Prospects of SDGs Management in SMEs

抄録

<p> SDGs の取組みを経営戦略に組み込んで実践するSDGs 経営においては,本業を通じた事業活動による利益の確保と地域社会の課題を解決する両利きの経営が求められている。中小機構が2022年3月に公表した「中小企業のSDGs 推進に関する実態調査―アンケート調査報告書―」では,SDGs に対する認知度が86.0%に高まっているものの,理解度は38.8%であり,実際にSDGs に取り組んでいる中小企業は僅か11.6%であることを明らかにしている。最近では,環境省が2018年7月に公表した「ESG 金融懇談会提言」を契機に,地域金融機関に対してESG 融資への取組みが要請されたことで,地域金融機関においては,中小企業に対するESG 融資や中小企業がSDGs に取り組むための支援サービスに着手している。</p> <p> 本稿では,地域金融機関の事例として,中小企業の伴走者としてSDGs 支援サービスを実践している七十七銀行を考察している。また,中小企業におけるSDGs 経営の実践事例として,電気・通信事業を営む中小企業T 社を考察している。T 社は,家電に関する「住まいのおたすけ隊」事業を通じて地域密着型のエリア戦略を展開し,変動損益計算書を活用し,限界利益を把握しながら短期利益計画を策定している。そのうえで,社内の経営基本方針に対応するSDGs のターゲットを紐づけ,従業員にSDGsの取組みが浸透するしくみづくりをしている。さらには,DX の推進に向けて専門家を雇用し,組織内改革を含めた経営会計情報の統合化に取り組んでいる。中小企業において,SDGs 経営はビジネスチャンスを拡大する手段であり,その実践は避けて通ることができない喫緊の課題である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390016339424604672
  • DOI
    10.34576/jarsmes.2023.9_27
  • ISSN
    24358789
    2189650X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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