先天性心疾患合併患者の口腔外科手術における麻酔関連有害事象の検討

DOI
  • 林 正祐
    地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター麻酔科 大阪大学大学院歯学研究科口腔科学専攻歯科麻酔学講座
  • 中川 光
    地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター麻酔科
  • 橘 一也
    地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター麻酔科

書誌事項

タイトル別名
  • Incidence of General Anesthesia-related Adverse Events in Maxillofacial Surgery among Patients with Congenital Heart Disease

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抄録

<p> 【要旨】 先天性心疾患(Congenital heart disease:CHD)合併患者の口腔外科手術における麻酔関連有害事象の発生について明らかにするため,大阪母子医療センターで2020年1月から2022年12月の間に全身麻酔下で口腔外科の予定手術を受けた症例を対象に,CHD合併患者とCHD非合併患者とで麻酔関連有害事象の発生を調査した.対象症例は1,111例で,CHD合併患者の割合は8.2%で近年増加傾向にあった.CHD合併患者の年齢の中央値は6歳,手術は唇顎口蓋裂関連手術が半数以上を占めていた.CHD合併患者では,早産・低出生体重児,遺伝子・染色体異常,てんかん,知的能力障害,喘息といった併存疾患を有している割合が多かった.CHD合併患者の麻酔関連有害事象発生率は36.3%で,CHD非合併患者(14.8%)と比較して有意に高く,なかでも,麻酔中の低血圧,徐脈,抜管後の低酸素血症の発生率が高かった.麻酔関連有害事象を目的変数としたロジスティック回帰分析を行った結果,CHD,遺伝子・染色体異常,知的能力障害の合併が独立した麻酔関連有害事象発生要因であった.また,CHD合併患者では術後に集中治療室に入室した症例が多く,デクスメデトミジンを用いた鎮静管理が行われていた.CHD合併患者の口腔外科手術では,術前の他の併存疾患への配慮と,術中の循環変動および抜管後の低酸素血症への対応,ICUでの術後鎮静管理の必要性について検討する必要がある.</p>

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