《提携団体推薦論文》JISAアワード:鉄筋出来形計測業務自動化への取り組み─ ICT で建設現場の業務革新をサポート─

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抄録

建設現場では,人手不足対策や2024年度に導入される時間外労働上限規制対策が課題となっている.国土交通省はi-Construction を打ち出し,これらの課題に対応するための現場へのICT適用を推進している.建設会社も生産性向上のため,デジタル技術導入を積極的に進めている.これらの背景の中,(株)日立ソリューションズは鉄筋出来形計測に着目し,三井住友建設(株)と協業し,計測作業を自動化するシステムを開発した.鉄筋出来形計測は,鉄筋の組立作業後,コンクリートを打設する前に鉄筋が設計書どおり施工されているか確認する作業である.従来は3人1組の人手で行うことが多く,事前準備,手動による計測,帳票作成に多くの手間と時間を費やすため,業界でも省力化が求められる業務の1つであった.日立ソリューションズは鉄筋出来形計測の一連作業の省力化を目指し,三井住友建設とともにシステムの開発に取り組んだ.鉄筋出来形自動検測システムは,デプスカメラを搭載したタブレットで撮影するだけで,配筋間隔の計測から帳票作成までを自動化するシステムである.システムの導入により,1回あたりの計測にかかる工数を従来工法と比較して約3分の1に省力化できている.システムの開発にあたり特に工夫した点として,現場での導入,運用のしやすさを重視し,汎用品のデプスカメラ,タブレットを採用した点が挙げられる.

収録刊行物

  • 情報処理

    情報処理 64 (11), d139-d145, 2023-10-15

    情報処理学会

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