慢性一次性疼痛のメカニズムとアプローチ法

DOI
  • 松平 浩
    Tailor Made Back pain Clinic(TMBC) 株式会社as-T Medical design 福島県立医科大学医学部疼痛医学講座 順天堂大学医学部麻酔科学・ペインクリニック講座

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タイトル別名
  • Mechanisms and approaches for chronic primary pain

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抄録

<p>慢性疼痛の新たな疼痛機構として“痛覚変調性疼痛”があり,中枢性感作,中脳辺縁系ドパミンシステムおよび下行性疼痛調節系の機能異常がその誘因となりうる。これは,末梢での傷害の有無にかかわらず,不快な情動にも因する内因性鎮痛機構不全に伴う“脳が生み出す第三の痛み”であり,ICD-11では慢性一次性疼痛(MG30.0)に分類される。線維筋痛症がその代表であるが,顎関節症もこれに含まれ,BMS(burning mouth syndrome)とPIDAP(persistent idiopathic dentoalveolar pain)がこれにあたる。慢性痛患者では心理社会的要因が関与している場合が多く,それらの要因を的確に評価し,それに応じた認知行動的アプローチが求められる。筆者らは,令和3年度厚生労働省慢性の痛み政策研究事業(慢性の痛み患者への就労支援/仕事と治療の両立支援および労働生産性の向上に寄与するマニュアルの開発と普及・啓発)のなかで,「新心理社会的フラッグシステム日本版」を開発した。心理社会的フラッグシステムは,世界の有識者による会議を経て英国で開発され,欧州では各国の頸部痛・腰痛診療ガイドラインで推奨されている。本稿では,意欲ある治療者のOperation Systemとなる合理的な手法の開発を目指し,令和3年度に厚労研究班で開発した心理社会的フラッグシステムのうち,特にイエローフラッグ(認知行動療法の選択・実施に向けた心理社会的要因)についても解説する。</p>

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