「ゲーム」としてのスポーツ

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書誌事項

タイトル別名
  • Sports as a “Game”:
  • Designing a Place that Connects
  • ―つながる場のデザイン―

抄録

本稿は、スポーツによって人と人、人と社会が「つながれる」場合と「つながれない」場合があることに着目し、このコインの裏表のような関係が生じる場の捉え方を問題にした。これまで自明のこととされてきた「スポーツは競争の遊びである」というパースペクティブからではなく、そもそもスポーツはゲームをプレイすることでしか成立しないというパースペクティブを採用する。その上で本稿では、ゲーム論から「スポーツをするという行為」について考察し、改めて「つながり」について整理することを目的とした。<br>  「ゲーム」としてのスポーツは、前提的目標と簡単には乗り越えられない構成的ルールによって生まれる挑戦課題を、内部的目標に向かって試行錯誤する自発的行為であることが導かれた。このことから、スポーツにおいて「つながり」が生まれる場は、ゲームの意味を理解した他者が一緒に内部的目標を常に合意形成し続けなければならないという不安定な場としての特徴がみいだされた。<br>  また近代スポーツは、その実践がフィジカル空間に規定されるために「強いつながり」を生み出しやすかった。それに対して新しいスポーツは、サイバー空間へ世界を広げたり、テクノロジーを身に纏ったりしながら、内部的手段を変更するルール等によって、これまで出会わなかった人々と一緒にプレイできるゲームとしてデザインされているために、「弱いつながり」が生みだされることを示した。<br>  最後に、スポーツが遊びへの離脱を促すと捉えるだけではなく、「ゲーム」としてのスポーツによる俗の遊化という方向性も検討していく必要性を示した。社会における様々な「つながり」が分断されている事態に対して、遊び心を持って新たなゲームを生み出すことが、スポーツ文化の可能性を拓いていく点について言及した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390016438475561088
  • DOI
    10.5987/jjsss.30-2-05
  • ISSN
    21858691
    09192751
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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