手指消毒薬誤飲による高齢者の急性エタノール中毒の1例

  • 入江 仁
    弘前総合医療センター救急科 弘前大学大学院医学研究科救急・災害医学講座
  • 青柳 有沙
    弘前大学大学院医学研究科救急・災害医学講座
  • 杉山 佳奈
    弘前大学大学院医学研究科救急・災害医学講座
  • 石澤 義也
    青森県立中央病院救命救急センター
  • 花田 裕之
    弘前大学大学院医学研究科救急・災害医学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Acute ethanol intoxication in an elderly patient due to accidental ingestion of hand sanitizer: A case report
  • シュシ ショウドクヤク ゴイン ニ ヨル コウレイシャ ノ キュウセイ エタノール チュウドク ノ 1レイ

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抄録

<p>意識障害の原因が消毒用エタノールの誤飲であった高齢者の症例を経験した。患者は92歳,女性。既往歴に認知症があり施設に入所中であった。嘔吐,意識障害,ショック状態を呈し救急搬送された。施設職員より本人の部屋にある手指消毒用エタノールの容器の蓋が外され,内容量が減った状態で枕元に置かれていたと申告があった。血中エタノール濃度は300mg/dL以上(当院測定上限)であり,誤飲による急性エタノール中毒と診断し,即日入院とした。第2病日に血中エタノール濃度は189mg/dLまで低下し,意識レベルも改善したため,第5病日に他院へ転院とした。新型コロナウイルス感染症を契機に手指消毒薬はきわめて身近な存在となったが,一般的に用いられている消毒用エタノール溶液は濃度が80%程度であり,誤飲により意識障害などの中毒症状で受診に至る可能性があることを認識しておく必要がある。また,認知症を有する高齢者が誤飲しないための対策が必要である。 </p>

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