乳児指趾線維腫症の 1 例:本邦報告 21 例の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Infantile Digital Fibromatosis : Review of 21 Cases Reported in Japan
  • ニュウジ シシセンイ シュショウ ノ 1レイ : ホンポウ ホウコク 21レイ ノ ケントウ

この論文をさがす

抄録

<p>2 歳,女児。1 歳半頃に家族が右第 5 指腹側の結節に気づいた。明らかな外傷の既往はなかった。部分生検の病理で真皮から皮下脂肪織にかけて紡錘形細胞が膠原線維の増加を伴って束状に増殖しており,Masson Trichrome 染色で赤く染まる封入体を認めた。以上より乳児指趾線維腫症と診断した。自覚症状や機能障害がないため経過観察としたが,自然消退しなかった。3 歳半頃より軽度の圧痛を伴うようになったことより海外の報告1)を参考にタクロリムス軟膏 0.03%小児用の外用を開始した。6 カ 月間外用するも改善に乏しく外用を終了した。現在は自覚症状はなく経過観察中である。調べうる限り本邦における 2000 年以降の乳児指趾線維腫症の報告例は自験例を含め 21 例であった。1 歳未満の男児に多く,部位は足趾に多くみられた。本症は指趾の背面~側面が好発部位であり,自験例の他に腹側に生じた例はなかった。約半数が経過観察されており,症状を認める症例では手術が選択されていた。経過観察例はすべて自然消退しており,無症状で生活に支障を来さない場合には経過観察を行うことが最適と考えられた。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (5), 362-365, 2023-10-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (3)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ