酒さ様皮膚炎の経過中に生じた Morbihan 病と考えられた 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Morbihan's Disease with Rosacea-like Dermatitis

抄録

<p>49 歳,女性。5 年前より近医で顔面の紅斑に対してステロイド外用剤,漢方薬などで治療されていた。 初診の 3 カ 月前に前医を受診し,酒さ様皮膚炎としてタクロリムス軟膏を外用したが眼瞼浮腫を生じ,プレドニゾロン(PSL)の内服を開始した。浮腫は軽快したが PSL 漸減にともない顔面の紅斑が再燃し,難治のため当院に紹介となった。顔面の紅斑や丘疹,眼瞼浮腫を認め,PSL 内服を中止し,タクロリムス軟膏外用を開始したが症状は急激に増悪し,PSL 10 mg/日の内服を再開した。初診時の皮膚生検で真皮深層にいたるまで付属器周囲性にリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤と類上皮肉芽腫の形成がみられ,トルイジンブルー染色で真皮血管周囲に肥満細胞が増加していた。酒さ様皮膚炎および Morbihan 病と考え,PSL を漸減し,ミノサイクリン塩酸塩内服とメトロニダゾール軟膏の外用で治療し,紅斑と眼瞼浮腫は約 1 年を経て緩徐に改善した。Morbihan 病は顔の中央および上部 3 分の 2(眼窩周囲・額・眉間・鼻および頰)にみられるリンパ浮腫を主症状とし,現在のところ確立した診断基準や治療はない。自験例では眼瞼浮腫の再燃が長期に及んだが,ミノサイクリン塩酸塩内服が症状改善の一助となった可能性が考えられた。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (5), 347-350, 2023-10-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (7)*注記

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