書誌事項
- タイトル別名
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- The involvement of brain fatty acid-GPR40/FFAR1 signaling in the stress-induced chronic pain
抄録
<p>心理・社会的ストレスへの慢性的な暴露は,うつ病や不安症などを含む精神疾患のリスクファクターとなるだけでなく,慢性疼痛の発症や増悪を引き起こす.現在,慢性疼痛発症・増悪機序におけるストレス負荷の影響の詳細は不明であり,有効な治療法も確立されていない.近年,脂肪酸およびその代謝産物の分析技術が発展した結果,各種細胞や臓器ごとの脂肪酸組成を網羅的に測定するリピドミクス解析や,リン脂質,脂肪酸やその代謝産物などの組織中の局在性を可視化できる質量顕微鏡の技術が登場している.これらの技術の発展により,生体における脂質の多様性やその役割,分布の違いや病態時における脂肪酸組成変化などが解明されつつある.最近,我々も慢性疼痛モデルマウスにおいてストレス負荷による脳内脂肪酸組成変化やリン脂質の変化をイメージング解析することで,疼痛時における脂肪酸シグナルの関与について明らかにしてきた.その結果として,ストレスにより誘発される慢性疼痛に対する新たな治療標的として,脂肪酸シグナルの調節が重要であることを提唱するに至った.本総説では,慢性疼痛発症・増悪機序におけるストレス負荷の影響と脂肪酸シグナルの役割について,最新の基礎および臨床の知見についてまとめた.</p>
収録刊行物
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- 日本薬理学雑誌
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日本薬理学雑誌 158 (6), 449-453, 2023-11-01
公益社団法人 日本薬理学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390016504861489280
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- ISSN
- 13478397
- 00155691
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可