17;19転座型ALL:留意すべき極めて治療抵抗性のcommon ALL

DOI
  • 稲葉 俊哉
    広島大学原爆放射線医科学研究所がん分子病態研究分野

書誌事項

タイトル別名
  • A rare “common” acute lymphoblastic leukemia with t(17;19)(q22;p13) with extremely poor prognosis

抄録

<p>17;19転座型急性リンパ性白血病(t(17;19)-ALL)は,予後の極端な悪さ故に,特に留意すべきcommon ALLの一病型である.10歳以上が目立つ(約70%)ことを除けば,約70%が初発時白血球数2万/μL以下であるなど,特段の予後不良因子を持たないことが多い.ところが,17;19転座より産生されるTCF3::HLF (E2A-HLF)キメラ転写因子が,強力なアポトーシス抑制機能を持つため,白血病細胞は頑強な治療抵抗性を獲得する.染色体検査上17;19転座の同定が難しく,しばしば正常核型と誤認される点も留意すべきである.TCF3::HLFは,アポトーシス関連因子に加え,LMO2CD33PTH-rPANNEXIN IIなど,さまざまな遺伝子を直接・間接に異常発現させる.この結果,t(17;19)-ALLの半数程度の患者が,CD33陽性,高Ca血症,凝固異常など,common ALLとしては稀な症状を示すので,年長児で,これらの症状を示す正常核型のB前駆細胞ALLは,t(17;19)-ALLを疑い,RT-PCR法によるキメラ検出を試みるべきである.B細胞系ALLの0.5~1%程度と頻度は高くないが,通常治療での治癒は望めないので,当初よりTCF3::HLFキメラ検出を行い,診断確定によりblinatumomab投与やCAR-T細胞療法など,最新の治療法を駆使した強力な治療を行う必要がある.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390016526854648320
  • DOI
    10.11412/jspho.60.199
  • ISSN
    21895384
    2187011X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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