PSA(Prostate specific antigen)免疫染色陰性肺・胸膜転移の原発が前立腺癌と診断された多重癌の 1 剖検例

DOI
  • 島田 尚登
    国際医療福祉大学塩谷病院 呼吸器内科
  • 望月 太一
    国際医療福祉大学三田病院 呼吸器内科
  • 福崎 篤
    国際医療福祉大学塩谷病院 泌尿器科
  • 岩本 俊彦
    国際医療福祉大学塩谷病院 泌尿器科 国際医療福祉大学塩谷病院 高齢者総合診療内科
  • 土橋 洋
    国際医療福祉大学病院 病理診断科
  • 梅田 啓
    国際医療福祉大学塩谷病院 呼吸器内科

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抄録

胃癌(低分化腺癌)部分切除後で進行性前立腺癌のホルモン療法中の 68 歳,多重癌の男性。 胸部Cで右上葉末梢に孤立性陰影を認め, PET-CTで18F-FDG集積陽性を認めた。右胸水中の細胞診は陰性,しかし,CEA高値から多重癌からの転移,原発性肺癌が疑われた。積極的な治療は希望されず,一年後に呼吸不全で死亡した。剖検で肺・胸膜病変(中~高分化腺癌)の免疫染色を施行,TTF-1,PSAは共に陰性であったが,NKX3.1陽性で前立腺癌の肺・胸膜 転移と診断した。通常,前立腺癌からの転移を疑う場合にPSA値に注目しがちであるが,本例はPSAのみでは確定診断に至らなかった点で,今後は前立腺癌治療中の肺・胸膜腫瘍例において生検組織の免疫染色を行う場合,PSAだけにとらわれず,NKX3.1免疫染色を積極的に併用すべきであると考えられた。

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