上腕二頭筋長頭腱損傷の関節鏡評価

DOI
  • 竹原 元司
    神戸市立医療センター中央市民病院 整形外科 関西電力病院 整形外科
  • 馬谷 直樹
    関西電力病院 整形外科

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抄録

上腕二頭筋長頭腱(LHBT)損傷への腱固定術や切離術は,手術時LHBT所見で判断されるが,その適応は術者や施設によって異なっている.LHBT損傷は,肩峰下インピンジメントやLHBT不安定性,骨頭求心性低下で生じるため,LHBT周囲組織の随伴病変が腱処置決定の判断の一助になる可能性があり,調査した.LHBT部分断裂を認めた15肩を対象に,LHBTは発赤,肥厚や扁平化,不安定性(ramp test),LHBT周囲組織はSGHL/SSc舌部複合体(anterior pulley)損傷,棘上筋前方線維(posterior pulley)損傷,SLAP損傷,LHBT直下の関節軟骨損傷を評価した.その結果,LHBTの発赤10肩,肥厚や扁平化15肩,不安定性11肩を認め,anterior pulley損傷15肩,posterior pulley損傷11肩,SLAP損傷15肩,LHBT直下の関節軟骨損傷13肩を認めた.LHBT周囲組織の随伴病変は,LHBT部分断裂が軽度より中等度や重度の方が多く認めた.腱処置決定の判断は,LHBT自身とともにその周囲組織への評価が有効である可能性がある.

収録刊行物

  • 肩関節

    肩関節 47 (2), 381-384, 2023

    日本肩関節学会

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