和算における「点竄」の由来と成立について
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- 武正 泰史
- 東京大学大学院総合文化研究科
書誌事項
- タイトル別名
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- On the Origin and Formation of Tenzan in Early Modern Japanese Mathematics
抄録
<p> 江戸時代の数学、和算における「点竄」は筆算、ないし西洋の代数学だと評価されてきた。その成立には「演段」という数学用語がとりあげられ、さらに 2 つの用語は「傍書法」と呼ばれる数式の表記方法との関係が示唆されてきた。本稿は和算家による用例に基づき、「点竄」の成立を再検討するものである。</p><p> 関孝和や弟子の建部賢弘は「演段」を「解説」として理解していた。その後の和算家は、「演段」をある種の術として理解するようになる。ただし「演段」と「傍書法」との関係性は見出せない。一方「点竄」については、「傍書法」との関係を強調した松永良弼の解釈と、方程式の計算と結びつけた入江修敬の解釈が存在していた。両者の解釈は有馬頼徸によって包括され『拾璣算法』に掲載された。同書の出版によって、「点竄」と「傍書法」が一つの知識として普及することになり、それを後の和算家が受容したのである。</p>
収録刊行物
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- 科学史研究
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科学史研究 61 (304), 301-317, 2023
日本科学史学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390016681646432256
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- ISSN
- 24350524
- 21887535
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可