分割抜去により自然萌出した双生歯の1例

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  • A Case of a Naturally Erupting Geminated Tooth Due to Separation and Removal

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抄録

<p>双生歯は発生頻度が0.05~0.35%程度と比較的まれな形態異常とされており,正常歯と過剰歯の歯胚が1つに融合したものと定義されている。双生歯が萌出障害や歯列不正,機能障害などの原因になっている場合は正常歯と過剰歯の結合および歯髄の共有など,総合的に検査・診断し治療計画を立てることが重要である。</p><p>今回われわれは上顎右側側切歯部の埋伏双生歯に対して,過剰歯部分の分割抜去により自然萌出した症例を経験したので報告した。</p><p>患児は8歳10か月の定型発達児で,上顎右側側切歯の萌出遅延を主訴に近医歯科を受診したところ,精査と加療を目的に当科を紹介された。CT画像から上顎右側側切歯の歯冠近心部に硬組織の癒合が観察され,隣在する正常歯に欠損がなく,歯冠が正常歯に比較して大きいため双生歯と診断した。歯髄腔の共有はみられなかったことから,癒合部分の分割抜去により自然萌出を促すこととした。全身麻酔下にて埋伏双生歯の分割抜去を行った結果,2か月後に自然萌出が認められた。双生歯の癒合部分は象牙質に低石灰化を認め,う蝕に罹患しやすいことが報告されているが,患児の歯口清掃状態は不良なため,指導と経過観察を続けてきた。同部位は10歳0か月時,反対側と同程度の位置まで萌出し,歯周検査においても比較的良好な状態で推移した。以上のことから萌出を障害している歯冠の一部を除去することで自然萌出が期待できることが示唆された。</p>

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 60 (3), 116-121, 2022-11-25

    一般財団法人 日本小児歯科学会

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