新型コロナウイルス感染症対応と母子保健指標との関連

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between coronavirus disease countermeasures and maternal and child health indicators

抄録

<p>目的 2020年に始まった新型コロナウイルス(COVID-19)感染症感染拡大とその対応は,医療,保健を含む社会全体に対し大きな影響を及ぼしてきた。今回,COVID-19とその対応に関連する社会的変化と,妊娠,出産や母子保健行動との関係について記述疫学的検討を試みた。</p><p>方法 大阪市における出生数や乳幼児健康診査受診率,その他の母子保健に関わる不妊治療費助成事業,産後ケア事業,専門的家庭訪問支援事業の利用について令和3年度までの経年推移を比較検討した。</p><p>結果 近年,出生数は毎年減少しているが,2020年9月以降も減少傾向が持続し,とくに2021年11月以降には減少が顕著に認められた。また,2020年以降,婚姻数の低下も認めていた。不妊治療費助成事業において,2020年度総助成数は前年度に比較して約14%の減少を認めた。その反面,産後ケア事業においては,利用人数は2015年度以降増加傾向であり,COVID-19流行後の2020年度も前年度から約1.5倍の増加を認めた。また,専門的家庭訪問支援事業では,訪問延べ数は2017年度から減少傾向であったが,2020年度の方が前年度より増加していた。乳幼児健康診査に関しては,前年度まで受診率は上昇傾向であったが,2020年度は3か月児,1歳6か月児,3歳児ともに低下を認めた。2020年度3歳児健診受診率は7年ぶりに90%を下回っていたが,2021年度にはすべての乳幼児健康診査受診率について90%以上に回復した。</p><p>結論 COVID-19に関連したメディアや行政,医療等の対応が,出産・子育て世代の非婚化,晩婚化や育児困難感の増加,妊娠の意図の低下に関係し,一時的にせよ結果的に出生数の低下に影響を与えた可能性も否定できない。COVID-19に対する適切な対応を行いながら,妊娠の意図が減退しないような適切な情報提供,施策,投資が必要と考えられた。COVID-19流行下では,出生後も育児困難感の上昇による母子保健行動の変容が認められるが,それに対してはサービスの充実などの工夫で対応することが可能であると思われた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390016880924035072
  • DOI
    10.11236/jph.22-131
  • ISSN
    21878986
    05461766
  • PubMed
    37544744
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • PubMed
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ