身体知の発揮による自己の動きの認識の向上と運動習熟との関係(教)

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抄録

<p>運動学習における知識に基づく認識において,岩田はその対象を①課題認識,②実態認識,③方法認識に分類した(岩田,1996)。また玉腰は,認識の位置づけと論議の過程を歴史的・思想的・方法的視点で検討し,体育授業における認識の形成過程の解明を今日的な課題として取り上げている(玉腰,2014)。</p><p> 運動課題の認識においては,①目標像とする動きの把握,②課題を遂行する身体の動きを自分の身体として表象する動きの把握が求められる。それは,自己観察(K.マイネル・金子,2008)能力の育成という視点から認識対象・方法の検討を必要とするといえるだろう。</p><p> 小学校学習指導要領解説体育編には,「知識及び技能」の目標にある各種の運動の行い方の理解が「運動の基本的な動きや技能を身に付けることに効果的」であり,獲得した知識の活用による課題設定と解決が内容として示されている。ここに,知識の獲得とそれに基づいた動きの認識が体育科の見方・考え方を働かせた学習の充実に欠かせないことがうかがえる。</p><p> そこで本研究は,試行した学習者の実際の動きとそれに対する技術的知識に基づいた動きの認識に対して,金子(2006)の運動習熟の五位相を視点とし,身体知の獲得による動きの認識と運動技能の向上との関係に迫ることを目的とした。「マット運動」の検証授業を実施し,運動習熟位相ごとに,技術的知識の発揮・運動直後の動きの感じの記述内容と動きの習得度との関係を検討した。診断的・総括的授業評価得点ならびに学習後の技術的知識得点と運動能力得点は有意に向上したことから,本検証授業の妥当性が確かめられた。学習中の動きの認識調査結果から,高い習熟位相における身体知を発揮した動きの認識と運動能力の向上との関係が示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390016880929743360
  • DOI
    10.20693/jspehssconf.73.0_139
  • ISSN
    24367257
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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