大学生における入学時の体力レベル別にみた精神的健康度の縦断的変化(体力学)

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  • 4年間(5時点)の追跡調査

Abstract

<p>【目的】大学生において、入学時の体力レベルの違いによって、卒業時までの精神的健康度に経年的な変化がみられるかどうかについて検討した。</p><p>【方法】2018年に入学した260名、ならびに2019年に入学した166名の計426名の大学生を対象に、入学直後に文部科学省の新体力テスト(12歳~19歳対象の全8種目)を実施し、1年入学直後、1年後期末、2年後期末、3年後期末、4年後期末の5時点で調査を実施し、精神的健康度の推移を追跡した。体力レベルは、新体力テストの総合評価基準表(A~Eの5段階評価)を用い、A・Bを高体力群、Cを中体力群、D・Eを低体力群と定義した。精神的健康度として抑うつ尺度CES-Dと気分尺度POMS2の各指標を用いた。統計解析には、混合モデルによる二元配置反復分散分析を用い、性、入学年度、ならびに入学直後の同居有無、経済状況、身体活動量(IPAQ-short)を調整した。</p><p>【結果】CES-Dは群間の固定効果が有意であり、高・中体力群は、低体力群よりも5時点で一貫して得点が低く(良好)、4年間を通じで抑うつ度が低いことが示された。また、POMS2においては、「緊張-不安」において交互作用が認められ、3年次から4年次にかけて高・中体力群は得点が維持・低下(良好)傾向にあったが、低体力群では得点が上昇(悪化)した。</p><p>【結論】大学入学時の体力レベルの違いによって、CES-DとPOMS2の「緊張-不安」において異なる時間変化が認められ、高・中体力群は、低体力群に比して精神的健康度を良好に保っていることが示された。本対象者は、大学生活の半分以上をコロナ禍で過ごした学生であることから、困難な環境下にあっても、体力レベルが高いことは精神的健康を良好に保つ上で、一つの重要な保護因子となり得ることが示唆された。</p>

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