プロセス制御におけるパルプ濃度・パルプ性状把握の重要性

  • 土肥 清幸
    ABB株式会社 プロセスインダストリ事業部 営業&技術アドバイザー

書誌事項

タイトル別名
  • Consistency and Fiber Morphology
  • ―Key Process Factor for Pulp Process Control―
  • ―オンライン分析を活用した叩解・ウェットエンド制御―

抄録

2050年までのカーボンニュートラルな日本にするために,産業界全体への生産プロセスの改善・転換のプレッシャーが年々強くなっています。また日本,そして素材産業ならではの問題として,人口の減少,魅力的なIT産業への人材流出により,素材産業は優秀な労働力を確保することが難しい状況にあります。一方で,「紙」は人に,そして環境に優しい最良の材料であり,近年の脱プラスチックの流れと新素材への期待から,今後多くの可能性を秘めた材料でもあります。ABBは上記のようなお客様の課題に対し,複数のアプローチを行っています。<br>本稿では「最適な叩解・ウェットエンド制御のためのオンライン測定機器」のアプローチのうち,フリーネスと繊維形状を同時に測定することが可能なフリーネス・ファイバーオンラインを用いた叩解制御,及び光学式濃度計を活用したリテンション計のウェットエンド制御の事例と概念を説明します。<br>多くのお客様では電力原単位での一義的な制御が主流であるのに対し,フリーネス・ファイバーオンラインによる叩解制御は,叩解機前後のフリーネスの変化に基づく,連続的な電力量の制御を可能にします。また,将来的にはフリーネスという簡易的指標から,繊維形状に基づく叩解制御を行うことで,最終製品の品質制御を目指します。<br>KRAによりヘッドボックス・白水の全濃度,灰分濃度を正確に測定することで,ABBのWECは調成工程フィードフォワード制御を行います。板紙製造工程においては全濃度に占める灰分のウェイトが大きいことから,高度な制御には全濃度だけでは不十分であり,灰分測定が重要であると考えております。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 77 (11), 1009-1015, 2023

    紙パルプ技術協会

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