重症大動脈弁狭窄症を有する腹壁瘢痕ヘルニアの高齢男性に対し,ケタミンを用いた静脈麻酔併用局所麻酔下に修復術を施行した1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Abdominal Incisional Hernia Repair with Severe Aortic Valve Stenosis under Intravenous Anesthesia using Ketamine and Local Anesthesia

抄録

<p> 患者は88歳,男性.約40年前に直腸癌にて腹会陰式直腸切断術を施行されている.腹痛,嘔吐を主訴に当院を受診した.来院時のCTにて腹壁瘢痕ヘルニアと小腸の嵌頓を認め,用手的整復を行った.心エコー検査にて重症の大動脈弁狭窄症(以下,AS)と診断された.ASはあるが,再陥頓した場合の重篤化を考慮して早急に手術を行うこととなり,ケタミンを用いた静脈麻酔併用局所麻酔下に腹壁瘢痕ヘルニア修復術を施行した.術中は血圧や心拍数,呼吸回数等のバイタルサインは安定しており,術後経過は良好で術後8日目に退院となった.現在,術後16ヵ月を経過したが,再発は認めていない.重症の心疾患を有する腹壁瘢痕ヘルニアに対するケタミンを用いた静脈麻酔併用局所麻酔下の修復術は,治療の選択肢の一つになり得ると考えられた.</p>

収録刊行物

  • 山口医学

    山口医学 71 (4), 111-114, 2022-12-01

    山口大学医学会

参考文献 (3)*注記

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