Analysis on the Theoretical Connection between Co-operation and Division of Labor (2)

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  • 労働・協業・分業のトリアーデを読み解く(2)
  • ロウドウ ・ キョウギョウ ・ ブンギョウ ノ トリアーデ オ ヨミ トク(2)

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Abstract

マルクスの生産方法論のキーワードになるのは,協業論のなかで提示された集団力という概念である。しかし,この概念にかんするマルクスの説明は一面的であり,肉体労働者たちの単純協業で発揮される集団力のことばかりに偏っている。分業(分業に基づく協業)で集団力が発揮されるためには,異なる工程を担当する多数の労働者が「同じ空間」に集まること以上に,互いに情報をやり取りしながら工程間の相互調整を行うことが必要になる。したがって,対物的な集団作業においても,労働者間の意思疎通にかかわる対人的な労働はきわめて重要な役割を演じる。この労働で用いられる通信手段の発展とともに,個別的分業としての作業場間分業のフィールドも拡張されるのである。個別的分業としての作業場間分業の古典的事例といえるのが,流通の一括性と生産の分散性とを併せもつ問屋制生産である。問屋制生産の原理的構造を明らかにする上で一つの焦点になるのは,工程間の相互調整を行う上で問屋商人の果たした役割であるが,この役割のために労働者間の意思疎通が不要になるわけではない。労働者間の意思疎通では,個人的熟練に還元できない集団的熟練が求められる。これは,機械化によって解体することの難しいタイプの熟練である。したがって一度形成された集団的熟練は,労使関係のあり方に多面的な影響をもたらし,労働市場の構造を多層化させる要因にもなる。

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