土壌微生物叢活性剤 Takeo-Tanisaka 液の利用による熱帯稲作の画期的改善

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  • Breakthrough improvement of tropical rice cultivation using the soil microbial flora activator Takeo-Tanisaka Solution

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抄録

アジア諸国の中でも特に単位面積当たり子実収量が低いフィリピン共和国のミンダナオ島で借用した農家水田 24 ha で固定型 indica 品種 RC240 を栽培し,熱帯稲作の問題点を探るとともに,土壌微生物叢活性剤 Takeo-Tanisaka 液(以下,TT 液)の効果を調査した.その結果,ミンダナオ島における稲作の低収量は,病虫害,ネズミの食害,洪水や干ばつなどの自然災害,灌漑設備などの圃場施設の不備などが原因であること,および,TT 液の散布と化学肥料の減量が,病虫害や干ばつによる被害を軽減し,収量を大幅に増加させることが判明した.また,殺菌剤の不使用と,水田周辺の草叢の刈取も重要であること,ただし,必要最低限の殺虫剤は使用してもよいことが示された.この推測の正しさを検証するために,フィリピン稲研究所アグサンが主催する収量のみを競う稲作コンテストに 3 期連続で挑戦した.コンテストでは,肥料や殺菌剤を一切使用せず,TT 液と最小限の殺虫剤のみを使用し,さらに試験田の周囲の草刈り,水管理を徹底して行った.その結果,収量性の低い固定型品種 RC240 を使用したにもかかわらず,自社製のハイブリッド品種,肥料および農薬を使用した巨大バイオ・ケミカル企業を 3 期連続で抑えて首位の成績を得ることができた.3 作期の平均佅収量 7.22 ton/ha はフィリピン稲研究所・アグサン支所管内の RC240 の平均収量およびフィリピン共和国の全品種の平均収量のそれぞれ 2.4 ~ 2.9 倍,および 1.9 ~ 2.0 倍に上った.これらのことから,TT液の投入と上記コンテストで採用した栽培管理が,熱帯地域のイネ収量の増大と,同地域の「低投入持続農業」の実現と推進に有効であると結論した.

収録刊行物

  • 作物研究

    作物研究 68 (0), 41-50, 2023-06-21

    近畿作物・育種研究会

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