全身性強皮症を合併した肺腺癌に免疫チェックポイント阻害薬併用の化学療法が奏効し,骨転移巣への放射線照射を回避できた1例

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タイトル別名
  • A Case of Pulmonary Adenocarcinoma Complicated with Systemic Sclerosis

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抄録

<p>背景.自己免疫疾患を有する患者に対する免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)の有効性・安全性の報告は少ない.また,強皮症患者への放射線照射も晩期有害事象が多いとの報告があり,積極的な適応とはならない.今回,我々は強皮症を合併した肺腺癌に対してICI併用の化学療法が奏効し,放射線照射を回避できた症例を経験したので報告する.症例.67歳,男性.55歳時に強皮症と診断され他院で加療中であった.背部痛を契機に前医でCTを撮像したところ,右肺上葉の結節影と縦隔リンパ節腫大を認めたため,当科紹介となった.精査の結果,肺腺癌,胸椎転移と診断.胸椎転移が脊柱管内に進展していたが,強皮症を合併しており放射線照射は高リスクであった.腫瘍はPD-L1高発現であったため,最終的にICI併用の化学療法を選択し,重篤な有害事象なく原発巣,椎体転移ともに著明に縮小した.結論.強皮症患者に対するICI投与は既存の疾患の増悪や免疫関連有害事象の頻度を高める可能性はあるが,治療選択肢の一つとなり得る.</p>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 63 (7), 953-958, 2023-12-20

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

参考文献 (9)*注記

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