TS-1の化学療法中に胸壁外筋肉内血腫から出血性ショックに至った1例

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タイトル別名
  • A case of hemorrhagic shock due to large extrapleural hematoma during TS-1 chemotherapy

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説明

<p>66歳の男性。心房細動に対しワルファリンカリウムを内服中で, 胃癌術後TS-1の化学療法中, 顔面蒼白であるのを家族が発見し救急要請した。来院時はショックバイタルで, わずかな血管外漏出像を伴う広範な筋肉内血腫が左肩から側胸部, 背部にかけて広がり, 後頭蓋窩にくも膜下出血があった。Hb 4.9g/dLの出血性ショックとPT-INR 7.41, APTT 79.6秒の凝固過延長に対し, 濃厚赤血球, メナテトレノン, プロトロンビン複合体製剤, 新鮮凍結血漿を投与し, 搬送5時間後には循環動態と凝固機能は是正された。くも膜下出血は搬送12時間後には拡大傾向が収まり, その後新規の出血や貧血の進行はなく経過し, 化学療法を施行している施設へ意識清明で転院搬送した。TS-1がワルファリンカリウムの抗凝固作用を増強させることは報告があるがショックにまで至った報告はない。抗凝固療法中の患者では薬物相互作用の知識と出血性合併症が起こった場合の対応がとくに重要と考えられた。</p>

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