レビー小体病の早期予測と鑑別技術の開発戦略

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書誌事項

タイトル別名
  • Development of early prediction and discriminating techniques for Lewy body diseases

説明

<p>超高齢化社会の到来により加齢性神経疾患の克服と健康寿命の延伸が喫緊の課題である.アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症,パーキンソン病に代表される神経変性疾患では原因タンパク質が脳内に蓄積し,神経細胞内の凝集体が病理学的特徴として知られる.アミロイドβやαシヌクレインなどの原因タンパク質の蓄積が始まる初期では認知症状や運動障害等の臨床症状は認められず,蓄積の経過とともに脳炎症が始まる.その後,神経細胞死が進み臨床症状が発症してから初めて認知症やパーキンソン病であることを自覚する.そのため,神経変性の早期予測と疾患修飾薬を組み合わせた発症前の根本的予防法が期待される.私たちはこれまでに,Ca2+/カルモジュリン依存性キナーゼⅡ(CaMKII)/プロテアソーム系に着目したアミロイドβの分解促進や,脂肪酸結合タンパク質(FABP)/長鎖型ドパミンD2(D2L)受容体に着目したαシヌクレインの伝播・取込み機序を標的とした神経変性疾患の低分子・中分子治療薬の開発を行ってきた.またFABPノックアウトマウスの解析から,FABPが神経変性過程において発現が増強され,ミトコンドリア障害と神経細胞死に関与することを見出した.そこで本稿ではこれらの知見に基づき,神経変性におけるFABPファミリータンパク質の生理的意義に着目しながら,神経変性疾患を予測可能な血漿バイオマーカーの解析と各疾患を区別するための鑑別方法について紹介し,新しい神経変性疾患の超早期予測の可能性について議論したい.</p>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 159 (1), 2-5, 2024-01-01

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (12)*注記

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