愛知県岡崎市乙川流域における人々の河川に対する環境認識の特徴

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タイトル別名
  • Characteristics of People's Environmental Perceptions of River Environment in the Otogawa River Catchment, Okazaki City, Aichi Prefecture, Japan

抄録

<p>多様な主体の参画と協働を通じた持続可能な水資源管理の推進は国際的な急務である.多主体協働を通じた持続可能な水資源管理の推進の実践には,年代,職種,生活圏等の異なる人々が水環境の価値や機能をどのように認識しているかを理解することが重要である.当然,人々の河川に対する環境認識は,一般に個人の経験や価値観によって大きく異なるが,一方で環境認識の特徴には,地域の地理的・文化的特性に対応した傾向があると考えられる. 本研究は,愛知県岡崎市乙川流域を対象として「自分に関係ある場所」の認識を調査し,人々の河川流域に対する環境認識の空間パターンの傾向と時代変化を,社会的な側面から明らかにすることを目的とした.岡崎市民を対象にアンケート調査を実施し,人々が乙川流域のどの範囲に意味を見出しているか可視化した.回答は年代および現在の活動(河川関連の職業,河川利活用への関与)に着目した方法でそれぞれ4クラスタ(年代:C1〜C4,現在の活動:C5〜C8)に分類された.クラスタごとに回答をGIS上で重ね合わせ,ある箇所の回答割合を集計することで,環境認識の空間パターンを可視化し,クラスタごとの比較をおこなった. 研究の結果,回答のパターンにはクラスタごとの差異がみられた.具体的に,1980年の河川改修前の河川環境を知る50代以上は,60%程度が居住地から1 km以内の範囲を「自分に関係ある」と回答したのに対し,40代以下(C3,C4)は比較して居住地の近くを「自分に関係ある」と回答しない傾向がみられた.また現在の活動に着目した比較では,河川関連の職業や河川利活用への関与があるクラスタ(C5,C6)では,関与のないクラスタ(C8)と比較し,居住地から回答の最大距離が大きく,より広い範囲を回答している傾向がみられた. 以上から,乙川流域に対する人々の環境認識の特徴として,1980年の河川改修を境に「近所の川」に関する意味が失われた傾向,また河川に関わる現在の活動が流域一体で川を捉える認識を育くんでいる可能性を指摘した.発表では,ヒアリング・文献調査を通じた環境認識の形成要因・背景の分析も含めて考察をおこなう.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017193115812736
  • DOI
    10.11520/jshwr.36.0_192
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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