令和元年東日本台風時の水位記録とHi-net地震計ノイズ記録の統計解析

DOI
  • 澤崎 郁
    防災科学技術研究所 地震津波防災研究部門
  • P.C. Shakti
    防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Statistical analysis of hydrograph and Hi-net seismic noise power during the 2019 Typhoon Hagibis case

抄録

<p>河川の上流域では支流が複雑に分岐するため、個々の河川へのアクセスが難しく、水位観測施設を設けるのが困難である。また、洪水時には漂流物の付着などにより観測記録に異常が生じやすい。これらの課題に対処できる手法の一つとして、河川が励起する振動を流況把握に利用する手法の開発が進められている。河川から伝わってくる振動を地震計で検出し、その強弱を分析することで、洪水時に欠測することなく、リアルタイムかつ高サンプリングで流況を把握することができる。しかし、この手法の実用化のためには、観測される振動の強弱と流況との関係を、実記録と物理学的背景に基づき理解する必要がある。本研究では、国土交通省の水位観測記録と防災科学技術研究所の高感度地震観測網Hi-netの地震計記録を比較し、Hi-netの設置環境や水位観測点までの距離によって、水位の再現性がどのように変化するかを調査した。</p><p>令和元年東日本台風時の記録を調査した結果、流れが速く社会活動起源の振動が少ない山間部の地震観測点において、河川水位と地震計ノイズのパワーがよく相関すること、地震計設置点と水位観測点が離れるほど相関が低くなり、地震計ノイズは近傍の河川の流況を選択的に反映することが明らかとなった。これらの結果は、河川内に機器を設置して水位を観測する従来法の適用が難しい上流域において、地震計記録が代替の流況モニタリング手法として有望であることを示すものである。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017193115822080
  • DOI
    10.11520/jshwr.36.0_402
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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