薬物療法患者におけるePROを用いた有害事象モニタリング:地域のがん診療連携拠点病院腫瘍内科外来における経験

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抄録

<p>【背景と目的】進行期がんに対する薬物療法において、有効性とともに有害事象による体調悪化の予防が重要である。有害事象の把握において、医療者評価と患者評価には乖離があることが報告されている。外来薬物療法患者におけるBring Your Own Device(BYOD)を用いた電子患者報告アウトカム(ePRO)による症状モニタリングを行い、早期介入が望ましいと思われる症状報告が行われた場合の院内フローの確立を図るため、単施設の前方視的介入研究を行った。【方法】当院腫瘍内科にて外来薬物療法を受ける成人患者で、本人もしくは同居家族がスマートフォン・タブレットを所有する症例を対象とした。有害事象評価としてPRO-CTCAEを用いた。ePROアプリとして3H P-Guardianを用い、登録作業を薬剤師、看護師、担当医が支援した。PRO-CTCAEは当院における実現可能性調査(癌と化学療法2022年)で報告頻度の高かった(>50%)項目と、既報(Baschら)を参照して28項目を選択し、水曜日(±1日)を起点として7日に1回の回答とした。早期介入が望ましいと思われる9症状(食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、呼吸困難、疼痛、不眠症、疲労、うつ)についてGrade3以上の回答があった場合、研究者の登録メールアドレスにアラートが報告され、多職種による情報共有のうえ、電話による状態確認等の介入を行った。【結果】2021年9月に倫理審査委員会による承認を受け、症例登録を開始、抄録作成時点(2023年8月)で77例が登録された。男性49例(64%)、年齢中央値68歳(29-85)、がん種は多いものから大腸がん13例、すい臓がん13例、胃がん9例、リンパ腫7例、乳がん6例。病期はStageIVが64例(86%)を占め、治療レジメンは細胞障害性薬剤59例(77%)、分子標的薬単剤7例、免疫療法単剤10例、両者併用1例。のべ回答ポイント1651回中、回答率は55%。アラート対象9症状におけるのべ8190回答中のアラート158回(2%:多いものから疼痛46回、下痢30回、疲労26回)。アラート対応についても概要を報告する。【考察】外来薬物療法患者におけるBYODを用いたePROによる有害事象モニタリングと、アラートをきっかけとした介入を行う単施設の前方視的研究を行った。多職種が協力することで説明同意から症例登録、アラート確認と介入までスムーズな診療が行われた。今後はアラート以外のePRO情報の活用と入力率向上、また参加割合向上に向けた取り組みが課題と考えている。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017267762543616
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_1-c-s03-4
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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