血液悪性腫瘍患者を対象とした発熱性好中球減少症時におけるMR-proADMの推移および他の感染マーカ―との関連性の評価

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抄録

<p>【目的】</p><p>血液悪性腫瘍(HM)治療時に高頻度で発症する発熱性好中球減少症(FN)に対しては、広域抗菌薬による経験的治療が行われるが、HM 患者における発熱の原因には感染症以外もあり鑑別が難しい。広域抗菌薬の不必要な長期使用は避けるべきである一方で、加療を躊躇し予後が悪化することは避ける必要がある。そのためには、HM 患者のFN 時における発熱の原因を鑑別でき、かつ予後を予測可能なバイオマーカーが必要であり、我々は敗血症等の有用な予後予測因子として期待されているMid-regional pro-adrenomedullin(MR-proADM)に着目した。本検討では、FN発症時のMR-proADM濃度推移および他の感染マーカーとの関連を評価した。</p><p>【方法】</p><p>大分大学医学部附属病院血液内科にて、FNの診断基準(好中球数が500/μL未満または1,000/μL 未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予測される状態での腋窩温37.5℃以上の発熱)を満たしたHM患者26 症例、28 エピソードを対象にMR-proADM、プレセプシン(P-SEP)、プロカルシトニン(PCT)およびC-反応蛋白(CRP)の血漿中濃度を測定し、それぞれの推移を比較した。また、測定した全ポイントにおける血漿中MR-proADM、P-SEP、PCTおよびCRP濃度の相関性を確認した。</p><p>【結果・考察】</p><p>FN発症から血中濃度が最高値に到達するまでの日数(中央値)はMR-proADMで5.5日、P-SEPで4日、PCTで5.5日、CRPで5日であり、MR-proADMは他のマーカー同様にFN発症後早期に上昇を認めた。それぞれの最高血中濃度の中央値(四分位範囲)は、4.90(3.53-5.82)ng/mL、72.6(24.1-194.9)pg/mL、415(236-989)pg/mL、5.52(2.93-14.29)mg/dLであった。各濃度の相関性を検討したところ、MR-proADMはP-SEPと有意な正の相関を示したが(rs = 0.201、p = 0.005)、その相関性は小さく、PCT(rs = 0.122、p = 0.094)およびCRP(rs = 0.041、p = 0.589)とは有意な関連性を認めなかった。</p><p>【結論】</p><p>HM患者のFN発症時において、MR-proADMは他の感染マーカーと同様に早期に濃度の上昇を認め、FNの発症に関連して上昇することが明らかとなった。一方で、他のマーカーとは異なる要因で血中濃度が変動している可能性が示唆された。今後は感染症の有無および予後で群分けし、それぞれの予測因子としてMR-proADMが有用であるか検討する予定である。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017267762555904
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_1-c-p-d2
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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