新医薬品の国際共同治験における日本人症例数及びその割合に関する研究

DOI
  • 古川 衣登
    北里大学大学院薬学研究科臨床医学(医薬開発学)
  • 成川 衛
    北里大学大学院薬学研究科臨床医学(医薬開発学)

抄録

<p>【目的】ICHによる国際的な規制の整備により医薬品開発における海外データの利用は急速に進んでいる。本邦でも国際共同治験(MRCT)への参加は既に1つの開発戦略として取り入れられており、MRCTのデータに基づき多くの医薬品が製造販売承認を得ているが、日本人症例数の算出方法は確立されていない。本研究では、近年MRCTのエビデンスを活用して承認された新医薬品における日本人症例数及びその割合を調査し、これらに影響する因子について検討した。</p><p>【方法】2018年1月より2022年12月までの期間に承認された新医薬品のうち、検証的試験をMRCTにて実施した薬剤を特定し、審査報告書等の公表情報を用いて日本人症例数及びその割合を調査した。また、これらと承認取得企業の属性・規模や薬剤プロファイル、MRCTの規模等との関係を分析した。</p><p>【結果】研究対象とした新医薬品は延べ217品目であった。日本人症例数の中央値は43例(最小値1、最大値970、以下同様)、日本人症例割合は8.5%(0.1、81.8)であり、調査期間内に経時的な変化は見られなかった。企業属性(内資14.1%、外資8.1%)、企業規模(Top20企業 8.1%、21以下企業 9.8%)、ATC分類(A 7.1%、B 10.9%、C 6.8%、D 11.0%、G 21.0%、H 7.3%、J 4.3%、L 8.5%、M 7.5%、N 9.1%、R 6.4%、S 13.6%、V 15.1%)、モダリティ(低分子 8.1%、biologics 9.1%、その他 7.1%)、抗悪性腫瘍剤(該当 8.0%、該当せず 8.8%)、他国での状況(US/EUいずれかで承認済 8.0%、未承認 9.9%)、試験規模(50例未満 14.4%、50-100例未満 19.0%、100-500例未満 8.8%、500-1000例未満 9.9%、1000例以上 6.9%)、参加国数(10か国未満 22.1%、10-30か国未満 8.1%、30か国以上 6.9%)、参加地域(US/EU参加 8.0%、US/EUいずれか 18.6%、US/EU参加せず 63.9%、日本以外のアジア参加 8.1%、参加せず 9.1%)であった。</p><p>【考察・結論】調査期間内に承認された新医薬品502品目のうち211(延べ217)品目において検証的試験がMRCTで実施されており、MRCTは直近5年間で承認された新医薬品で広く用いられていることが確認された。日本人症例数は試験規模に伴い増加が確認された。日本人症例割合は0.1%から81.8%と品目間で大きな幅があり、参加国数及び参加地域、企業属性、試験規模の影響を受ける傾向が示唆された。US/EUが不参加のMRCTでの日本人症例割合が顕著に高かったが、該当する試験数は限られていた。これらの結果を踏まえ、更なる分析が必要である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017267762560000
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_1-c-p-h2
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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