臨床薬理学教育におけるポリファーマシーに関する症例を活用した医療面接実習:教育効果の探索的検討

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抄録

<p>【目的 】大分大学医学部附属病院臨床薬理センターでは医療面接を重視した問題解決型のクリニカル・クラークシップ(以下CC)を行っている。本研究は、CCにポリファーマシーに関する症例シナリオを導入し、学生のポリファーマシーについての認識及び医療面接の教育効果を探索的に検討した。【方法】対象は本研究期間にCCに参加した医学部医学科6年次生32名とした。ポリファーマシーに関する症例シナリオの医療面接実習前後に、教育効果に関する自記式のアンケートを実施した。アンケートは、先行研究(Barnett et al. 2016; 常住 他. 2013)を基に関係者と検討し作成した。調査項目は(1)医療面接実施経験の回数(2)ポリファーマシーの学習経験(3)ポリファーマシーの問題への関心(4)医療面接に関する自己評価とした。実習前に(1)(2)(3)(4)、実習後に(3)(4)の回答を得た。回答方法は多肢選択(複数回答可)、リッカート尺度(5件法)、自由記述で構成した。統計解析はEZRを用いた。(3)(4)に対してWilcoxon符号付順位検定を行い、両側検定でp<0.05を統計学的に有意とした。本研究は大分大学医学部倫理委員会の承認(承認番号2521)を得て実施した。【結果】対象者32名全員から回答を得た。(1)医療面接実施経験の中央値(四分位範囲: IQR)は、ロールプレイ5(3-7)回、患者面接3(2-3)回だった。(2)ポリファーマシーの学習経験では、半数の学生がポリファーマシーにまつわる問題を「全く知らない」「あまり知らない」と回答した。(3)ポリファーマシーの問題への関心の中央値(IQR)は、実習前3(3-4)、実習後4(3-4)だった(p=0.036)。(4)医療面接に関する自己評価の中央値(IQR)は、実習前2(2-2)、実習後3(2-3)だった(p<0.001)。一方、実習前後で医療面接に関する自己評価が低いままの学生は3割だった。その自由記述には「自分が思っているより聞けていないことが多くあった」「順序立てて質問していける自信がない」などが見られた。【考察】学生のポリファーマシーに関する認識及び医療面接の自己評価は、本医療面接実習後に高まったが、医療面接に関する自己評価が低いままの学生もいた。今後は、医療面接実習共通の教育目標の到達度に加え、学生が個別に目標設定や振り返りができるよう、実習前後の動機づけやフィードバックの工夫が必要である。</p><p>本研究はJSPS科研費JP22K13729の助成を受けたものである。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017267762657024
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_2-c-p-f3
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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