腸管の自律神経受容体発現量とその機能に対する加齢の影響

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Abstract

<p>【目的】</p><p> 便秘などの排泄障害は、60歳以降から有症率が急激に増加する。高齢者の排泄障害は、腸の蠕動運動の低下などが原因となっている。小腸の蠕動運動には自律神経系が関与しているが、加齢による自律神経機能と自律神経受容体の発現量を比較した報告はほとんどない。本研究では、小腸に発現するβアドレナリン受容体(β-Ad-R)とムスカリン性アセチルコリン受容体 (mAChR)の発現量と自律神経機能へ対する加齢での影響を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>4ヶ月齢、11ヶ月齢、18ヶ月齢のウイスターラットを吸入麻酔下で開腹し、腸管を摘出した。腸管の一部は、ホルマリンで処理した後に、パラフィン包埋し組織切片を作成した。Ad-Rの発現を免疫組織化学染色で確認した。また、腸管組織からmRNAを抽出し、リアルタイムRT-PCRで、自律神経受容体(β2-Ad-R、β3-Ad-R、mAChR M2、mAChR M3)のmRNAの発現量を測定した。自律神経を介した腸管の収縮作用はアセチルコリン (Ach)を、弛緩作用はAchで収縮負荷をかけた腸管に対するβ作動薬イソプロテレノールとβ3選択的作動薬ミラベグロンを投与しそれぞれ変化率をマグヌス法にて評価した。尚、本研究は、聖マリアンナ医科大学動物実験委員会による審査、承認を受けている。</p><p>【結果・考察】</p><p> 免疫組織化学染色で検討した結果 β2-Ad-R-とβ3-Ad-Rはラット小腸粘膜上皮に発現していた。β2-Ad-R、β3-Ad-R、mAChR M2、mAChR M3 mRNA発現量は加齢によって増加傾向を示した。Achの収縮作用は加齢により徐々に減少傾向を示した。Ach収縮負荷した腸管に対してイソプロテレノールとミラベグロンの弛緩作用も、加齢により徐々に減少傾向を示し、その作用はイソプロテレノールの方がより強く示された。腸管の収縮及び弛緩作用の減少は、自律神経受容体のmRNAに伴わない結果となった。したがって、自律神経受容体のタンパク質発現量の影響については現在検討中である。</p>

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