糸球体構成細胞ポドサイトにおけるGARPは糸球体硬化病変に関与する

DOI
  • 池田 明花理
    大阪大学薬学研究科臨床薬効解析学分野
  • 尾花 理徳
    大阪大学薬学研究科臨床薬効解析学分野 大阪大学先導的学際研究機構生命医科学融合フロンティア研究部
  • 山本 彩葉
    大阪大学薬学研究科臨床薬効解析学分野
  • 坂井 響
    大阪大学薬学研究科臨床薬効解析学分野
  • 田中 翔大
    大阪大学薬学研究科臨床薬効解析学分野
  • 岡田 欣晃
    大阪大学薬学研究科臨床薬効解析学分野
  • 藤尾 慈
    大阪大学薬学研究科臨床薬効解析学分野 大阪大学先導的学際研究機構生命医科学融合フロンティア研究部

抄録

<p>【背景・目的】ポドサイトは、糸球体での血液ろ過に関わる細胞で、アルブミン等のタンパクが尿中に漏出するのを防いでいる。一方、ポドサイト障害はタンパク尿を伴い、糸球体病変に関与する。よって、ポドサイトは糸球体腎炎等の治療標的として注目されているが、ポドサイト障害の分子メカニズムについては未解明な点が多い。Glycoprotein A Repetitions Predominant(GARP)は膜表面蛋白で、主にTGF-βの成熟と活性化に働く分子として知られる。腎臓の遺伝子発現解析から、GARPが糸球体で高発現していることが明らかとなっているが、腎臓におけるGARPの機能は不明である。本研究では、糸球体構成細胞の内、ポドサイトに着目しGARPの機能を追究した。【方法・結果】糸球体におけるGARPの局在を調べるため、C57BL/6Jマウスの腎臓を用いて免疫染色を行った。その結果、ポドサイトはGARPを発現していることが明らかになった。このことは、培養ポドサイトを用いた検討からも裏付けられた。次に、腎病態とGARPとの関連性を検討するため、片腎摘出マウスにアドリアマイシン(ADR)を投与し、糸球体疾患モデルを作製した。単離糸球体を用いたウェスタンブロットによる評価の結果、ADR投与2週後で糸球体におけるGARPの発現が上昇した。さらにGARPの病態生理学的意義を検討するため、ポドサイト特異的GARP欠損 (GARP cKO)マウスを作製した。GARP cKOマウス及びコントロールマウスに片腎摘出を施し、ADRを投与した。ADR投与2週後、両群間で尿中アルブミン/クレアチニン比に有意な差はなかった。一方、PAS染色像から糸球体硬化指数を評価した結果、GARP cKOマウスでは糸球体硬化が有意に抑制された。加えて、メサンギウム細胞マーカーであるPDGFRβに対する抗体を用いて免疫染色を行った結果、GARP cKOマウスでPDGFRβの発現が減少していた。【結論・考察】ポドサイトにおけるGARPは、糸球体病変に関与する可能性が示唆された。本研究成果が、糸球体病態形成の新たなメカニズム解明の一助になることが期待される。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017267762717952
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_3-c-o19-4
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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