Quality by Designを用いた研究計画立案及び実装を可能とする研究支援体制構築に向けた実施計画書作成支援ツールの作成

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抄録

<p>【目的】良質かつ責任ある臨床研究を計画し、実施することは重要であり、医学の発展に資する臨床研究への効果的なブラッシュアップが必要である。限られたリソースで臨床研究を効率的に実施するには臨床研究の計画立案の段階でCritical to Quality factor(CtQ要因)を特定し、リスク要因の特定や品質管理目標を明確化するとともにチーム内で共有することが重要であるが、Quality by Design(QbD)のプロセスを重視した研究支援手法は確立されていない。そこで本研究では、リソースが限られた試験でも出口目標を達成可能な研究計画が実装できることを目標に、QbDによるメリハリのある質の組み込みを、経験の少ないチームでもできるツールの開発を目指すこととした。</p><p>【方法】QbDによる研究計画立案に必要な要素をResearch Question構築の段階から、順を追って実施計画書のブラッシュアップに必要な要素について、フローチャートに整理した。多くの研究機関では利活用可能なリソースが限定されるため、研究固有のプロセスを明確化するための意思決定支援プロセスシートとして、Six Sigmaの手法を用いたQbDコミュニケーションシートの構築をし、リスク要因の管理や品質管理目標を明確にして、実施段階におけるプロセスを明確化した。</p><p>【結果・考察】本研究ではまず、QbDによる計画立案が可能となる業務プロセスについて、PICO/PECOの特定からTarget Product Profileの作成、実施計画書概要の作成、フルプロトコル作成とリスク評価、フィージビリティに関する検討とプロトコルの完成までに、研究者、支援者の間でどのような役割分担を実施するか、成果物と構成する要素に基づいたプロセスフローを完成させた。また、研究の出口戦略と目指すべき計画について、Six sigma及びトヨタ式生産管理方式で知られるA3シートを応用することで、研究チームがプロトコルブラッシュアップ時に考慮するべき要因を可視化したQbDコミュニケーションシートを構築し、研究者側が記載するべき項目と支援者との対話によりプロセスを可視化できるようにした。これらの使用方法と実例を添えて公開を行った。</p><p>【結論】リソースが限られた研究でいち早くE8R1ガイドラインに即した形での研究計画の立案は喫緊の課題であり、本ツールはQbDによる計画立案において役立つものと考えられる。本研究の成果により、我が国における臨床研究の質の改善にも大きく貢献するものと確信する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017267762736768
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_3-c-o17-6
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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