壺造り黒酢がエピゲノムに及ぼす効果

DOI

抄録

<p>【目的】食餌環境はエピゲノムに影響し、遺伝子発現のパターンを変化させる。エピゲノムの変化は遺伝的にも影響すると考えられているが、食品がエピゲノムに及ぼす影響はほとんど知られていない。調味料として専ら使用されてきた壺造り黒酢は、近年では機能性食品の一つとして広く認知されている。黒酢の効果として「血圧を下げる」「脂質異常症を改善する」などのさまざまな有効性が示唆されている。これまで我々は壺造り黒酢の濃縮液(以下、濃縮液)が、高脂肪・糖質食(HFD: High Fat Diet)の摂食による非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis: NASH)に伴う肝がんの発症リスクを下げること、肝臓におけるマイクロRNA(microRNA: miR)の発現パターンを変化させることを報告してきた。本研究では濃縮液がエピゲノムに及ぼす影響について分析した。【方法】黒酢濃縮液を含むHFDを自由摂食下でC57BL6Jマウスを飼育し、その対照群としてHFDのみと標準飼料(SD: Standard Diet)群における脂肪肝への影響を50週間飼育したマウスの肝臓を分析した。クロマチン沈降アッセイ(Chipアッセイ)を行い、12染色体qF1領域のヒストン修飾について、HFDによる影響をリアルタイムPCR法により評価した。【結果】HFDによりHistone acetyltransferase(HAT)活性が亢進することが認められ、HFDによりH3K27Acが上昇しており、HAT活性も上昇していた。H3K4MeはHFDで上昇しており、BVでは有意な上昇は認められなかった。12染色体qF1領域に存在するmiR-127-5p および-134-3pの発現も上昇していた。【考察】今回、HFDがHAT活性を亢進させ、DNAのアセチル化に影響を及ぼしている可能性が示唆された。BVはHFDによるヒストン修飾レベルを変化させることでmiR発現に影響を及ぼす可能性が示唆された。【結論】HFDはヒストン修飾に影響することで、miRの発現を変化させること、BVはH3K4Me の修飾に影響することで、HFDによるmiRの発現変化に影響している可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017267762902272
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_3-c-p-c4
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ