原因不明の小児急性肝炎:欧米と日本の比較並びに診療支援システムの整備

書誌事項

タイトル別名
  • Acute hepatitis of unknown etiology in children: Comparison between the U.K., U.S., and Japan, and ingenious clinical practice attempts
  • ゲンイン フメイ ノ ショウニ キュウセイ カンエン : オウベイ ト ニホン ノ ヒカク ナラビニ シンリョウ シエン システム ノ セイビ

この論文をさがす

抄録

<p>2022年に欧米で原因不明の小児急性肝炎が急増した.当初は流行中のアデノウイルス(AdV)陽性例が多いと注目されたが,メタゲノム解析により英米の流行期肝炎患者の80%以上で大量のアデノ随伴ウイルス2型(AAV2)が検出された.ヘルパーウイルスとなるAdVやHHV6の同時感染が多いこと,特定のHLA型が多いことも報告され,遺伝素因にAAV2感染が重なり発症する可能性がある.AAV9ベクターを用いる遺伝子治療により免疫介在性の急性肝障害を発症した例が多く,類似の病態と考えられる.また原因不明肝炎の一部にはSARS-CoV-2関連症例も含まれる.日本では1年弱で本症が162例届け出されたが,パンデミック以前と比べると減少傾向である.AAV2検出例も10%程度と少ないことから,欧米の流行とは異なる.従来から小児急性肝不全の約40%が原因不明であり,その一部にAAV2が関与していることが推測される.</p>

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 65 (1), 1-11, 2024-01-01

    一般社団法人 日本肝臓学会

参考文献 (29)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ