高校生ハンドボール競技大会期間中の外傷発生時の対応の実態調査

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タイトル別名
  • O-047 スポーツ・健康①

抄録

<p>【はじめに】 ハンドボールは飛ぶ・投げる・走るという3つの運動要素が必要な競技である。身体接触が許容され、激しいプレーが多く、外傷・障害発生の頻度も高い。時には脳震盪のなど頭部外傷により生命に関わるケースもある。今回高校生ハンドボール競技大会期間中の外傷発生調査と医務活動の報告を行う。</p><p>【対象と活動内容】 対象は2019年8月~2022年11月開催の大会に参加した県下高校生選手の男女(15歳~17歳)。活動内容は県下大会中において外傷発生時に選手または指導者からの対応要請があったもの、試合前後にテーピング含むコンディショニング要望があったものである。対象者に対し情報収集(所属名・ポジション(コートプレイヤー:以下、CP/キーパー:以下、GK)・性別・既往歴・受傷時間・受傷起点・所見)と適宜評価、対応を行った。</p><p>【結果】 身体部位別は下肢が最も多く57%(132件)、上肢19%(44件)、頭頚部18%(42件)、体幹5%(10件)と続いた。外傷内容は挫傷・筋痙攣24%(55件)と最も多く、捻挫19%(43件)、打撲15%(34件)、出血8%(19件)の順で頻度が高かった。対応内容は全体に対しテーピング28%(100件)、アイシング26%(91件)、ストレッチ11%(40件)、経過観察9%(31件)と続いた。ポジション別ではCP91%(189件)、GK9%(19件)だった。</p><p>【考察】 身体部位別では下肢、上肢、頭頸部、体幹に順に多く、傷害は挫傷や筋痙攣が多かった。ハンドボール競技の外傷・障害の特性として先行研究では、手・指の発生が多い結果との報告や、競技種目に関わらず足関節の外傷・障害を経験する(2004,中尾ら)との報告がある。しかし、部位は下腿部が最多であり先行研究とは異なる結果となった。症状の中で創傷は擦過傷含め裂創の発生は接触プレーや衝突・転倒時に皮膚への強い牽引ストレスや圧迫により生じ創縫合が必要なケースもある。また、運動中に発生する筋痙攣の要因は筋疲労や脱水、血中電解質の現象及び環境温が関係すると考えられるが、関係性のみならず予防策を含め、明確な科学的検証を行っている報告は渉猟しえない。我々は指導者や選手に対し大会時期や環境を考慮したコンディション調整や水分摂取の促しを行うことが必要だと考える。また、今回の調査は通年で行っており、季節による暑熱環境下等の条件、学年や経験年数の違い、covid-19情勢で、練習量や頻度、試合同様の練習の不足に関しても考慮が必要だった。加えてポジション別特徴では90%以上がCPの受傷だが、CPの中でも詳細に調査し、特性を理解する必要がある。また、大会の全体救護として依頼を受けているため、対象者の大会以前の罹患症状・疾患の詳細把握や、対応後の経過については収集可能な範囲で対応しているため不明瞭な側面も多く存在する。現在、大会時は県協会医務班員が1名以上常駐しているが、外傷内容により複数でサポートが必要な場合も有る。我々の課題は選手をはじめ、指導者を巻き込んだ体制作りと、スタッフ間の評価と対応にばらつきがないよう共通認識を持つ場を設けることが今後の課題である。</p><p>【倫理的配慮、説明と同意】 当調査報告において、調査の趣旨を十分に説明し同意を得た上で、ヘルシンキ宣言に基づき実施し、個人を特定できないように無記名で情報収集を行った。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017289897144448
  • DOI
    10.32298/kyushupt.2023.0_47
  • ISSN
    24343889
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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