包括的なサポート継続により身体機能を維持している超高齢者の症例 腎臓リハビリテーションの視点から

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タイトル別名
  • O-090 地域リハビリテーション①

抄録

<p>【目的】 加齢に伴う腎機能低下や生活習慣により高齢者では慢性腎臓病(以下、CKD)Stage3~5のCKD患者の占める割合が増加する。重症化を予防する事は健康寿命を延伸しさらには医療費の減少をもたす。腎臓リハビリテーションは各専門職のチームによる定期的な生活指導や食事指導を含む診療連携が有効であると考えられている。今回CKD分類stage G3に該当する超高齢の訪問リハビリ利用者に対し、訪問リハビリテーションを含む包括的なサポートを行い良好な身体機能を維持している症例を経験したので報告する。</p><p>【症例紹介】 性別:女性 年齢:90歳代</p><p>身長:148 ㎝ 体重:42 ㎏ BMI:19.17</p><p>BI:90/100 FIM:107/126 握力Rt/Lt:6.8 ㎏/13.8 ㎏ 5m歩行:7.2秒 TUG:15.8秒</p><p>Cr:0.93 BUN:15.2 eGFR:42.7</p><p>基礎疾患:CKD 高血圧症 慢性心不全 持続性心房細動 狭心症</p><p>介護保険:要支援2</p><p>生活歴:団地一人暮らし</p><p>趣味:編み物 性格 社交的な性格で友人も多い</p><p>【経過】 2021年から現在に至るまで5回の入院歴あり。入院前よりデイサービスを週2回利用。2回目の退院後、訪問リハビリテーション開始。2022年6月に住宅型有料老人ホーム入所。同時期より訪問診療開始。</p><p>【考察】 CKD悪化に関わる因子にタンパク質過剰摂取や食塩の過剰摂取、高血圧症などがありQOLや生命予後悪化の改善には栄養面での配慮が重要と考えられている。症例は2021年から2023年にかけ5回の入院歴があり入院毎に管理栄養士から栄養指導の機会があった。住宅型有料老人ホーム入所後は食事管理が開始、さらに栄養面でのサポートが強くなっている。加えて入院時リハビリや訪問リハビリ、訪問診療でも栄養管理についての指摘を受け続けた結果、Cr・BUN・eGFRに著名な変化なく腎機能の維持に繋がった。介護保険の区分変更に伴い症例は週3回だった運動機会が区分変更に伴い週4回へ増加。運動機会増加をきっかけにケアマネージャーを通じデイサービススタッフと運動プログラムに対し連携を図れたことは身体機能改善に繋がったと考える(握力・5m歩行・TUG・FIM改善)。入退院の繰り返しや施設入所は環境変化が伴うことによる精神的落ち込みや意欲低下に繋がることがあるが入院時は顔見知りのスタッフ、施設入所時は訪問診療・リハビリスタッフとの関わりが継続していたことで環境変化に対応できていた。精神的落ち込み・意欲低下することなく経過したことは生活動作量の確保に繋がりADL維持の要因になったと考える。</p><p>【まとめ】 超高齢の重複障害を有する症例に対しても適度な運動の継続に加え包括的なサポートを行うことで身体機能及びADLを維持することが可能であると考えられた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017289897238272
  • DOI
    10.32298/kyushupt.2023.0_90
  • ISSN
    24343889
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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