食道癌肝転移巣の横隔膜穿孔により心筋梗塞様ST上昇をきたした心膜膿気腫の 1 例

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  • 症例報告 食道癌肝転移巣の横隔膜穿孔により心筋梗塞様ST上昇をきたした心膜膿気腫の1例
  • ショウレイ ホウコク ショクドウ ガン カン テンイ ソウ ノ オウカクマク センコウ ニ ヨリ シンキン コウソク ヨウ ST ジョウショウ オ キタシタ シンマク ノウキシュ ノ 1レイ

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抄録

症例は 72 歳男性,狭心症で右冠動脈にステント留置後。食道癌術後に多臓器転移をきたし,1 年前より化学放射線療法がなされていた。呼吸困難増悪のため入院していたが,血圧低下と心電図で下壁誘導のST上昇をきたした。胸部CTで心嚢内に多量の気体と心臓の圧排が認められ,心エコー図では左室壁運動は良好で,多数の高輝度小粒状エコーを含む心嚢液が認められた。心膜膿気腫と診断され抗菌薬で加療されたが,心嚢内の気体が再増大し,発症 15 日後に永眠された。病理解剖所見では,横隔膜直下の肝転移巣が壊死して隣接する再建後の十二指腸との間に癒着および穿孔し,これがさらに横隔膜から心嚢腔への瘻孔を形成していた。心膜膿気腫は,胸部CTなどで診断は容易であるが,発症時のST上昇は急性心筋伷塞との鑑別が重要と考えられた。

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