原発性肺癌に関する医療訴訟の解析

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  • ゲンパツセイ ハイガン ニ カンスル イリョウ ソショウ ノ カイセキ

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抄録

肺癌は悪性新生物を原因とする死亡原因の上位に位置し,肺癌に関する医療紛争も多く存在すると考えられる。本研究では,判例検索データベースを用いて過去 20 年間の原発性肺癌に関する裁判例を解析した。検索し得た 34 事例のうち 16 件で患者側の請求が認容(一部認容を含む),18 件で棄却されていた。争点は,肺癌の発見や確定診断の遅れに関するものが多く,当該過失が認められる傾向も高かった。説明義務違反については 12 件で主張され争点化されやすい傾向にあったが,そのうち裁判所が認めたのは 4 件にとどまっていた。認容額は,死亡との因果関係が認められた事例では 2200 万円以上,死亡との因果関係は否定され延命利益が認められた事例では 550 万円から 880 万円,生存例では 450 万円から 550 万円が認められていた。肺癌発見までの診療過程に注力することが,医療紛争を予防する上で特に重要になると考えられる。

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