巨大脾嚢胞に対して腹腔鏡下脾部分切除術を施行した 1 例

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抄録

脾嚢胞は稀な疾患であるが,総合診療医にとっては腹痛例の鑑別診断において念頭におくべき疾患である。腹痛を主訴に受診した脾嚢胞の症例に対し,腹腔鏡下脾部分切除術を施行し良好な経過を得たので報告する。症例は 35 歳女性。左下腹部痛を主訴に当院受診した。腹部超音波検査,造影CT検査にて,脾上極に 14cm大の嚢胞性病変を認めた。嚢胞内出血や感染も疑い,有症状のため手術適応と考え腹腔鏡下脾部分切除術を施行した。腹腔鏡下に S.A.N.D.バルーン®にて嚢胞内容を吸引した。脾動脈をテーピングし,上極枝のみを切離し虚血域に嚢胞が含まれていることを確認した。脾実質は破砕法にて切離し,細い血管は超音波凝固切開装置にて切離し脾上極を部分切除した。術後経過は良好であり術後 4 日目に退院した。病理組織は真性嚢胞であった。良性の脾嚢胞に対し,より低侵襲に脾機能を温存した治療を行うことができた。腹腔鏡下脾部分切除は腹腔鏡手術に習熟した施設であれば,安全に施行可能な術式であると考える。

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